書籍レビュー「アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント」

レビュー

[この記事は3ヶ月前に書かれました]

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著者

・平鍋 健児
永和システムマネジメント代表取締役社長
アジャイル開発手法の第一人者、エンジニアであり経営者
astah(旧称JUDE)の開発にも携わった。
twitter @hiranabe

・野中 郁次郎
世界的経営学者
一橋大学名誉教授、カリフォルニア大学バークレー校特別名誉教授、日本学士院会員

内容

アジャイルやスクラム開発は、ジェフ・サザーランド氏が1990年代に提唱したものですが このスクラムの考え方は、野中郁次郎氏と竹内弘高教授が1980年代に書いた論文「The New New Product Development Game」で 述べられている内容が元になっている。
この論文の中で専門組織をまたいで集められたチームが一体となって制開発する手法を「スクラム」と名付けているが ソフトウェア開発手法としてもそのままの名前でスクラムとして使われている。 私、恥ずかしながら知りませんでした。

本書では、論文の著者ご本人が元々ソフトウェア開発で適用することは想定せず考えられた「スクラム」と アジャイルでのスクラム開発を比較して再考している。

本書は以下のような構成をとっており、第一部ではなぜアジャイル開発が必要なのか。スクラムとは何かを丁寧に説明している。 また第二部では、リクルート、楽天、富士通でのアジャイル事例のインタビュー。第三部では上記に記述したようにアジャイル開発を再考している。

第一部 アジャイル開発、スクラムの説明
第二部 国内事例のインタビュー
第三部 企業経営とリーダーシップの側面からのアジャイル開発の考察

所感

第一部では、基本的な用語や考え方、手法を説明しており、要求が不確実な場合や、変化の激しい領域においてなぜアジャイル開発が有効かがよくわかります。 スクラム開発の基本を理解するためにお勧めできる内容かと思います。

(スクラム開発を実践したことがある方は理解されていると思うが)
スクラム開発手法の型を真似てみたところで、アジャイル開発が実践される訳ではなく組織やマインドに考え方が根付かなければ、真のアジャイル開発とはならない。
第三部では、型、手法だけではなく、元々の「スクラム」と対比して再考することで、スクラムの考え方が理解しやすいと感じた。

個人的に記憶に残ったのは
・「ラグビーのようにチームで一丸となってボールを前に運んでいる」
・「マネジメント層の介入を出来るだけ避けて、自己組織化を生み出す」
・「アジャイル開発には実践知を持ったリーダーが必要」
※形式知、暗黙知だけでなく両者を行き来できるリーダー
と、
筆者(平鍋氏)の 「目的は開発現場が生産的に、協調的に、そして楽しくなることだった。そして、これをプロジェクトの成功と両立させる。」 という言葉。
これには私もすごく同意します。 (発注側・開発側との関係、あるいは工程や領域での分業化が進むと、お互いの利益追求や責任の押し付け合い等が発生しやすく、スクラムで謡われているような一体となって良いものを作るという事が感じられないから)

またエンタープライズの領域では、このスクラム開発をもっと大きなプロジェクトにも適用してスケールさせる必要があるが、その管理手法については本書では触れていないので別の書籍をお勧めする。

本書籍は、2013年に出版された本であり、この時点でもクラウド環境や周辺技術の発達によりアジャイル開発は、より実施し易くなっていると語られているが、残念ながら日本全体としては、まだ浸透度は浅いと思われる。

しかし経済産業省が2018/9に発行したDXレポートで、新技術やアジャイル開発の必要性や契約形態の課題について触れている事もあり(関係しているかわかりませんが)、最近ではユーザー企業からのアジャイル開発の要求も多くなってきていると実際に私も感じている。日本は一部の企業を除いてITが非常に遅れているが、必ずアジャイル開発の比率は増えてくると考えます。 まだアジャイルのスクラム開発手法や考え方を理解していない人には本書籍をお勧めします。

ご購入


単行本(ソフトカバー):288ページ
出版社:翔泳社
発売日:2013/1/18

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